おせちが「重箱」に入っているのはなぜ?
おせち料理は、お正月に食べる特別な料理。
ただおいしいだけじゃなく、「幸せが訪れますように」という願いがこめられた料理とされています。
そのおせちを入れる器として使われるのが「重箱(じゅうばこ)」です。
この重箱にも、ちゃんと意味があるんです。
重箱にこめられた願い
「重箱」は、何段にも重ねて使う箱のこと。
一の重、二の重、三の重…と、上に積み重ねていきます。
この「重ねる」という言葉から、「めでたさが何度も訪れますように」「幸せが何段にも重なっていきますように」という願いがこめられています。
つまり、重箱は「縁起(えんぎ)が良い入れ物」ということです。
重箱のそれぞれの呼び方
重箱は、一番下の段を「一の重」と呼び、下から上にどんどん積み重ねていくものです。
書くときには一の重を「壱の重」、二の重を「弐の重」、三の重を「参の重」、四の重を「与(よ)の重」と書きます。
「壱」「弐」「参」は、「大字(だいじ)」と呼ばれる旧字体で、縁起が良く、格式が高い表記です。
お正月は格式を重んじる行事で、おせちは神聖でめでたい料理なので、普段使う文字ではなく、格調高く美しい表現を使うことで「特別感」をだしているのですね。
お祝いの気持ち・伝統の重み・格式の高さを表現するための、日本文化ならではの美しい言い回しなのです。
重箱の段にもそれぞれ意味がある
実は、ただ重ねているわけではなく、重箱の段ごとに入れる料理の種類や意味も決まっています。
たとえば、4段のおせち(四段重)の場合はこんな風になります。
段 | 名前 | 主な料理 | 意味 |
---|---|---|---|
一の重 | 祝い肴(さかな)・口取り | 黒豆、数の子、田作り、かまぼこなど | お祝いの気持ち、健康や子孫繁栄を願う料理 |
二の重 | 焼き物 | 鯛、ぶり、エビ、焼き鳥など | 出世、長寿、めでたさを表す |
三の重 | 煮物 | 里芋、ごぼう、れんこんなど | 家族の結びつき、安定を願う |
与(よ)の重 | 酢の物や和え物 | なます、たたきごぼうなど | 健康や清らかさを意味する料理 |
重箱は保存や持ち運びにも便利!
昔の人たちは、お正月の三が日は火を使わずにゆっくり過ごすため、年末に料理を作り置きしておせちにしていました。
そのため、フタつきで保存しやすく、持ち運びもしやすい重箱はとても便利だったんですね。
それに今では冷蔵庫がありますが、昔はそうはいきませんから、料理を守る役割もありました。
見た目も豪華で、ふたを開ける楽しみも!
重箱に
料理をつめると、色とりどりの食材が整然と並んでとてもキレイに見えます。
ふたを開けた瞬間、パッと目に入ってくる華やかさにはワクワクしますよね。
「この料理は何かな?」「どの段にどんな意味があるのかな?」と、家族で話しながら食べると、お正月ならではの“食育”の時間にもなります。
まとめ
おせちを重箱に入れるのはただの習慣ではなく、ちゃんと意味があります。
- 喜びやしあわせが重なっていくように
- 料理ごとの意味を大切にするために段分けされている
- 保存・持ち運びに便利で、昔の知恵がつまっている
- ふたを開ける楽しさと、見た目の美しさ
こうした理由から、重箱は「おせちにぴったりの入れ物」として、今でも大切に使われているのです。